とあるクライアント先のPM見習いの若手の話である。その子をAさんとしよう。
Aさんは、その会社に新卒として入社し、開発部に配属されてサーバーサイドエンジニアとして2年を過ごした。3年目のある時に本人の意向もあり、PM/ディレクター職にジョブチェンジをすることになった。
Aさんは要件定義と設計の違いもピンと来ていない状態だったので、一人でプロジェクトを推進できない。そのため、実質の要件定義は私が行いAさんはアシスタントとして開発上流工程の業務を覚えていくということになった。
Aさんを任されて困ったことがある。
「報・連・相」が下手なのと、自己判断で勝手に動くのだ。
仕事が遅いとか品質が悪いとかはジュニアなので許容できるのだが、
「報・連・相」が下手なのは許容しがたいと思っている。新卒のトレーナーを叱りたい気持ちでいっぱいになる。
「自己判断で勝手に動く」は、一見「能動的に動いて使える人材」のように見える。
しかし、そもそもスキルや経験、センスがない人間が「能動的に動く」というのは不要なことをしたり、プロジェクトの進行を除外したり、混沌を引き起こすことの方が圧倒的に多い。
案外、こういったケースで叱ることができない管理職も多いのだが、それは管理職が無能だと思う。
この話を知人にしたところ、「SL理論」というフレームワークを教えてもらった。これが非常に有用だったので、メモとして記しておく。
SLⅡモデル
シチュエーション・リーダーシップ理論の模式図 組織の成熟度(開発レベル)の高まりに合わせて、リーダーシップのスタイルを指示型(ディレクト) →コーチ型(コーチ) →支援型(サポート) →委任型(デレゲイツ)とリーダーシップのスタイルを変えながらが行動を管理する。
こういった考え方のフレームワークが既にあるのだ。すごい。
知人によると、
「Aさんの場合は、本人の実態はS1なのに、本人は自分をS3あたりだと思っている可能性がある」「この場合は、まずはAさん本人に”君はS1だよ”ということを認識させる必要がある」とのこと。
まったくその通りである。そして、この会話がなされる前からそのようなコミュニケーションは取っていた。「依頼された仕事は適宜進捗報告をしてくれ」「手が空いたなら勝手な自己判断で動かずに指示を仰げ」と伝えていた。
このフレームワークは、たとえば組織を預かる時や組織コンサルをする際にもそのまま使えると思う。非常に有用なものなので、忘れてもすぐに思い出せるようにしておきたい。
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